「自分の成果」から「チームの成果」へ
売上を伸ばす人の考え方

真面目に働き、誰よりも早く出社し、休憩も削って働いている。そこまでやっているのに、なぜか評価が伸びない——日本で働く外国人の方から、こうした声を聞くことがあります。

原因は努力不足ではありません。努力の「かけ方」が、個人の枠の中に閉じていることが多いのです。

この記事では、個人の成果からチームの成果へ視点を広げ、結果として売上を伸ばしていくための考え方を整理します。

1. 一人で頑張っても、必ず頭打ちになる

簡単な計算をしてみます。あなたが今の1.5倍働けるようになったとします。素晴らしいことですが、チーム全体の成果はどれだけ増えるでしょうか。

5人のチームで、全員が同じだけ働いているとします。あなた一人が1.5倍になっても、チーム全体では1.1倍にしかなりません。しかも、1.5倍の働き方を1年続けるのは現実的ではありません。

では、あなたが自分の作業を少し減らしてでも、他の4人が1.2倍になる手助けをしたらどうなるか。仮にあなた自身が0.8倍に落ちたとしても、チーム全体は「0.8+1.2×4=5.6」、つまり1.12倍です。一人で1.5倍働いた場合(1.1倍)を上回ります。しかもこちらは、無理なく続けられます。

これが、チームで成果を出すという考え方の出発点です。自分の手を速く動かすことより、チーム全体の合計を増やすほうが、成果は大きい。

2. チームの成果は「一番詰まっているところ」で決まる

もう一つ、知っておくと視野が変わる考え方があります。

仕事が「A→B→C」と流れているとき、Aが1時間で10件、Bが1時間で3件、Cが1時間で10件処理できるとします。このチーム全体では、1時間に何件処理できるでしょうか。

答えは3件です。Bが詰まっている以上、AとCがどれだけ速くても全体は速くなりません。それどころか、Aが頑張って処理を増やすほど、Bの前に仕事が山積みになり、状況は悪化します。

ここから分かることは明快です。成果を増やしたければ、自分の担当ではなく「一番詰まっているところ」を手伝うべきだということ。自分の持ち場を完璧にこなすことが、必ずしもチームへの貢献にならない場面がある、というのは重要な気づきです。

3. 売上を「分解」して、自分の仕事とつなげる

「売上を伸ばす」と言われても、何をすればいいか分からない——これはとても自然な反応です。売上という言葉が大きすぎるからです。分解すると見えてきます。

たとえば店舗の売上は、おおまかにこう分解できます。

売上 = お客様の数 × 一人あたりの購入金額 × 来店の回数

この形にすると、自分の仕事がどこに効いているかが見えます。

接客の質を上げれば「来店の回数」が増えます。商品の説明が上手くなれば「購入金額」が上がります。待ち時間を短くすれば「お客様の数」が増えます。

大切なのは、自分の仕事がこの式のどこに効くのかを、言葉で説明できるようになることです。説明できるようになると、上司との会話が変わります。「頑張っています」ではなく「この作業を変えたので、待ち時間が3分短くなりました」と言えるようになるからです。

4. チームで成果を出す人がやっている4つのこと

① 自分が知っていることを、独り占めしない

「これは自分だけが知っているから価値がある」と考えると、短期的には自分の存在感が高まります。しかし、チームの成果は増えません。そして日本の多くの企業では、情報を共有できる人のほうが高く評価されます

② 自分の得意を「型」にして渡す

あなたが得意なことを、他の人ができるようにする。そのために、手順を書き出す、写真を撮る、チェックリストを作る。こうして作った「型」は、あなたがいない日もチームを支え続けます。

③ 数字で話す

「たくさん」「けっこう」ではなく、「20件」「3分」と言う。これは日本語のレベルとは関係ありません。むしろ日本語に自信がない人ほど、数字で話すほうが正確に伝わります。数字は誰が聞いても同じ意味だからです。

④ 困っている人に、先に声をかける

「手伝いましょうか」の一言でチームの流れが変わることがあります。第2章で見たとおり、詰まっている場所を助けることが、全体の成果を最も大きく動かします。

5. 日本語が完璧でなくても、チームは動かせる

チームで成果を出すために必要な日本語は、実はそれほど多くありません。

  • 「手伝いましょうか」
  • 「今、何が一番大変ですか」
  • 「これは17時までに終わります」
  • 「ここが分からないので教えてください」

この4つが自然に言えるだけで、チームの中での立ち位置は大きく変わります。難しい敬語や長い説明より、短くて具体的な言葉のほうが、チームでは役に立ちます

また、日本語が母語でないことは、チームにとって弱みだけではありません。「これは何のためにやるんですか」という素朴な質問が、長年誰も疑わなかった無駄を見つけることがあります。外から来た視点は、それ自体がチームへの貢献になり得ます。

6. DNSのマネジメントスキル講座では

株式会社DNSのマネジメントスキル講座では、こうした「チームで成果を出す」考え方を、実際の職場の場面を使って訓練します。

売上の分解、ボトルネックの見つけ方、数字を使った報告の仕方を、ロールプレイ形式で繰り返し練習します。知識として知っているだけでは現場で使えません。言葉が自然に出てくるところまで練習することを大切にしています。

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