「プレーヤー」から「マネジメント」へ
アルバイト意識を変える3つの視点
「正社員になったのに、やっていることは学生時代のアルバイトとあまり変わらない気がする」——日本で就職した外国人の方から、私たちがよくいただく相談です。
この感覚は、能力が足りないから生まれるものではありません。アルバイトとして評価されてきた基準と、社員として評価される基準が、まったく違うものだからです。基準が変わったことに気づかないまま同じ努力を続けると、どれだけ真面目に働いても評価が上がらない、という状態が起きます。
この記事では、プレーヤー(自分で作業する人)からマネジメント(成果を作る仕組みを動かす人)へ意識を切り替えるために、何をどう変えればいいのかを整理します。
1. アルバイトと社員の一番の違いは「何が評価されるか」
アルバイトの仕事は、多くの場合こう設計されています。やることが決まっていて、それを決められた時間内に、正しくこなす。だから評価されるのは「時間」と「正確さ」です。シフトに穴を開けず、ミスなく働く人が良いアルバイトです。
ところが社員になると、評価の対象が変わります。「あなたがいたことで、会社に何が起きたか」が問われるようになります。
ここで大事なのは、時間や正確さが不要になるわけではない、ということです。それは前提条件になります。前提を満たしたうえで、そこから何を生み出したかが評価される。ハードルが一段上がるイメージです。
もう一つ、見落とされやすい変化があります。「周りへの影響」も評価に入るということです。自分の仕事は完璧でも、後輩が困っているのを見て見ぬふりをする人と、少し自分の手を止めてでも助ける人とでは、社員としての評価は変わります。
2. プレーヤーとマネジメントは、何が違うのか
言葉の定義よりも、具体的な違いを見たほうが理解しやすいので、3つの軸で比べてみます。
① 見ている時間の長さ
プレーヤーが見ているのは「今日」です。今日の仕事を終わらせることに集中します。マネジメントが見ているのは「来月」「3か月後」です。今日を終わらせながら、同時に「このやり方を続けたら3か月後どうなるか」を考えています。
たとえば、毎回15分かかる作業があるとします。プレーヤーは15分かけて丁寧にやります。マネジメントは「これ、手順書を作れば5分で終わるのでは」と考えます。手順書を作る時間は今日の負担になりますが、3か月後には大きな差になります。
② 責任を持つ範囲
プレーヤーは自分の担当分に責任を持ちます。マネジメントはチーム全体の結果に責任を持ちます。「自分は言われたことをやりました」で終われないのがマネジメントです。
③ 「うまくいった」の定義
プレーヤーにとっての成功は「自分がミスなくやり切れたこと」。マネジメントにとっての成功は「自分がいなくても回るようになったこと」です。ここが最も大きな違いかもしれません。自分の存在感を消していくことが、マネジメントの成功なのです。
3. 意識改革でつまずきやすい3つの壁
壁① 「自分でやったほうが早い」
これは、能力の高い人ほどぶつかる壁です。実際、その通りであることも多い。人に教える時間より、自分でやったほうが確実に早く終わります。
ただし、それは今日だけの話です。教えるのに1時間かかっても、その人が10回やってくれれば、あなたの時間は大幅に浮きます。「今日の1時間」と「来月の10時間」を天秤にかける習慣が、マネジメントの入口です。
壁② 「注意すると嫌われるのではないか」
日本の職場では、はっきりした指摘が少ないため、「注意していいのか分からない」と感じる方が多いようです。
ここでのコツは、人ではなく、やり方を指摘することです。「あなたは雑だ」ではなく「この手順だと、後の工程で確認が増えてしまう。ここを先にやると全体が楽になります」と伝える。事実と理由をセットにすれば、相手も受け取りやすくなります。
壁③ 「日本語に自信がないから、指示を出しにくい」
外国人の方から最も多く聞くのがこの悩みです。しかし、現場で見ていると、マネジメントに必要な日本語は、実はそれほど難しくありません。
必要なのは、流暢さではなく「あいまいさのなさ」です。「なるべく早めにお願いします」より「今日の17時までにお願いします」のほうが、日本語として簡単で、しかも良い指示です。短く、具体的に、数字を入れる。この3つを守れば、日本語のレベルに関係なく指示は伝わります。
4. 明日から始められる3つの練習
練習① 「なぜこの仕事があるのか」を一つずつ確認する
担当している作業を一つ選んで、「これは何のためにあるのか」「やめたら誰が困るのか」を考えてみてください。答えが出ない作業が見つかったら、それは改善の提案ができるチャンスです。
練習② 一日の終わりに、チームで起きたことを3行書く
自分の仕事ではなく、チーム全体で今日何が起きたかを3行だけ書きます。「Aさんが忙しそうだった」「この時間帯に問い合わせが集中していた」といったメモで構いません。1か月続けると、自分の担当の外側が見えるようになります。
練習③ 後輩や新しく入った人に、一つだけ教える
大げさな指導は必要ありません。自分が知っている小さなコツを一つ渡すだけです。「教える」という行為を通じて、自分のやり方を言葉にする力がつきます。これはマネジメントの基礎体力になります。
5. DNSのマネジメントスキル講座では
株式会社DNSのマネジメントスキル講座では、この意識の切り替えをロールプレイ中心の実践形式で訓練します。
スタッフの仕事管理、アルバイト・パートの育成、シフト調整といった、実際の職場で起きる場面を想定し、「どう声をかけるか」「どこまで任せるか」を繰り返し練習します。知識として理解するだけでは、現場で行動は変わりません。体が動くようになるまで練習することを重視しています。
企業のご担当者様へ
外国人社員をリーダー・管理職へ育てたいと考えている企業様から、「本人にやる気はあるが、どう指導すればいいか分からない」というご相談を多くいただきます。
この記事で挙げた3つの壁は、本人の努力だけでは越えにくいものです。特に「注意していいのか分からない」「日本語に自信がない」は、周囲が一言かけるだけで解消することがあります。当社では、人材のご紹介だけでなく、職業訓練講座と就業開始後の定着支援を組み合わせてご支援しています。
マネジメントスキル講座の詳細・お申し込みはこちら
講座の詳細を見る >>無理な勧誘は一切ありません。情報収集のみのご相談も歓迎です
無料相談・お問い合わせ >>